北陸の瓦製造メーカー小松製瓦の「瓦」特徴、性質について(2017)
黒瓦、小松瓦に対する質問が多く
当ブログの過去の記事を再編集しました。

富山ブラックの黒瓦と、空の青色が深く写り込んだ小松ブルーの小松瓦
質問というのは、
「富山では、「三州瓦」と「小松瓦」のどちらが良いか?」
というものです。
どちらが良い、向いているという事は
一概には言えませんが、
私自身、十数年前にメインの瓦を
小松製瓦へ切り変えました。
以下、当社で使用する瓦を小松製瓦に変更した理由です。
~ 良い理由 ~
① 瓦自体が強く、強度がある。
② 瓦の裏、表に釉薬が塗ってある。
③ 貫入が無い(かんにゅう)
(貫入を肉眼で確認できません)
④ 三州瓦より重たいと思っていたが、
それほど変わらない。
~ 悪い理由 ~
① 表面が粗い。
等の特徴があります。
まず、良い理由の、
「①瓦自体が強く、強度がある。」
について
小松瓦を加工し、現場で施工してみて
日々強い。と感じていました。
三州瓦から、小松瓦へ替える事により、
施工中に破損する瓦が減りました。
その理由のわからずにいましたが、
一つ面白い現象を発見したので、
お知らせします。
それは、
小松瓦は硬くて、柔らかいのです。
硬いのに柔らかいというのは
相反する事のようですが、
瓦に粘りがあり、柔らかいのです。
それはどうしてかというと、
グラインダ等で瓦を細く加工していると
3㎜程の厚みで切断する事があります。
これを両手でもって軽く押してやると、
「しなります」
三州瓦だと、ガラスのような堅さな為
押すと「割れて」しまいますが
この瓦は「しなって」元に戻るんです。
機会があれば、瓦屋さんに言って
試してみてください。
3㎜程度で薄くスライスした瓦を
曲げてみると良く分かります。
曲げすぎると割れてしまいますが、
瓦が「しなって」「戻る」というのは
面白くもあり、驚きます。
意図してこういう性質の瓦にしてる
かは分かりませんが、
(営業マンが驚いていました。)
北陸で生まれて、重たい雪に耐えるよう
作られ、選ばれてきた「小松瓦」
理由があったんです。
②「両面釉薬」
富山で施工されている古い三州瓦では、
釉薬の塗って無い裏面に凍害、塩害を
見かけたりしますが、
小松瓦では瓦の両面に釉薬を塗り、
貫入が入らないように焼く事により、
凍害、塩害について強くなっています。
③ 貫入が入らない(入りにくい)
貫入(かんにゅう)というのは、
焼き物の釉薬の表面にある
亀の甲羅のような細かな模様の事です。
(お茶碗にも貫入が入っています。)
通常、瓦が長年風雨に晒され、
貫入が目立つようになってきますが、
小松瓦には貫入が見られません。
貫入が無いために、釉薬は美しく輝き、
黒瓦に青い空が写り込み、
美しく深い青色で輝きます。
(貫入のある瓦では、空の青の映り込み
が少なく、白く濁ります。)
それまで三州瓦を使ってきた私にとって
貫入があるのは当たり前の事でしたが
小松瓦には貫入が入っているのを
見た事がありません。
屋根に乗せて、数年風雨に晒された
瓦を見てもそうです。
この辺はかなり意識されてるようで、
瓦を焼く温度が1250~1200℃と、
他の瓦より高くして、かなり気をつけて
製造されてるようです。
※貫入は、JIS規格、耐久性には
関係無いと言われていますが、
数十年、風雨や雪、凍害に晒される
富山では、重要な部分と思い、
選んでいます。
何年経って貫入が入らない為、
倉庫にある在庫の瓦、いつの製造の物か
判断つかなくなってしまいます。
(普通の瓦だと、貫入の入り方、
変色の仕方で瓦の古さが分かります)
修理に伺ったりした時にも、
劣化して見えない為
いつの施工だったかな?
と悩む事あります^^;
そういう事もあり、小松瓦の多い
北陸、富山では、とても良い艶の黒色、
深い青色の屋根を見る事ができます。
④重量について
私自身、小松製瓦に替えても、
三州瓦より重たいと思っていました。
重いが、強度があるから使ってみようと
思ってたんですが、
倉庫で計ってみた所、
意外な結果になったんです。
実際に倉庫で計ったところ、
平瓦で100g程度小松瓦が重いですが
役瓦と呼ばれる
雪止め瓦、軒瓦、大袖瓦、小袖瓦で、
100g~300g小松瓦が軽いのです。
この結果は意外でした。特に、
雪止めでは300gほども差があり、
屋根に瓦を葺いた場合、
そんなに変わらない結果になりました。
(平成20年 釈永瓦工務店 倉庫調べ)
1㎡、1mの積雪で3tもの重量になる
富山の重い雪に比べると
誤差のようなものだと思います。
※最近の三州瓦は瓦を薄く作り、
軽量化を図っている為、
平成29年現在の重量差は変わって
いるかも知れませんが、
軽量化をしたという三州の瓦の
サンプルを頂いたところ、
JIS規格は通ってるんでしょうが、
私個人の感想として、
とても富山で施工できる強度を
持っているとは思えないものでした。
悪い理由
①表面が粗い。
焼き物という事もありますが、
小松瓦の表面が荒く見える事があり、
気になる事があります。
メーカーに改善をお願いしてますが、
使用している土の関係と、
焼く温度が三州瓦より高く、
瓦が「しまる」ため
なかなか改善されません。
この部分が改善されると、
和形の三州瓦を北陸で使う理由は
無くなってしまうかもしれません。
瓦の表面の粗さは、
小松瓦の最大の欠点ですが、
瓦を焼く温度が高く、焼き締め、
「硬く、粘りがあって強い」
一つの特徴と言えるのかもしれません。
瓦の表面は多少粗いですが、
貫入の無い釉薬は美しく、
性能、構造の面で富山の土地に合っている為、
地元、北陸の瓦という事もあり、
三州瓦から、小松瓦へメインの使用瓦を変えました。
(黒瓦の多い富山、北陸なので、とても美しい艶の黒色が合います)
あと、瓦の防災化への対応もしっかりされてるため、
私の求める完全防災施工というのに対応できる瓦です。
(完全防災使用=防災瓦、全数釘止め、軒袖部への防災補強、等)
感覚で強い、硬い、と思っていた所と、
実際に計測、実験してみた結果というのが一致し、
予想外の結果も出てきて、面白い実験でした。
少しでも参考になれば幸いです。
それでも、個人的な感想、実験、感覚
に基づくものに過ぎません。
もっと詳しく、正確な情報は、構造の専門家(私は施工専門)の方に
お願いしたいと思います。
当社では、小松瓦、三州瓦以外に、
淡路瓦、石州瓦、安田瓦も検討して
使用しています。

陶器特有の貫入が無い為、
空の青色が深く写り込み艶のある
富山ブラックの黒瓦と
小松ブルーの小松瓦
私の認識に間違いがあれば、ご指摘頂けると助かります<(_ _)>
小松瓦の施工例 ~祐教寺(富山県立山町) 降ろし替え、瓦屋根リフォーム工事~
小松瓦の施工例 ~立山町U様邸 蔵、瓦屋根おろし替え工事~
小松瓦の施工例 ~立山町H様邸 瓦屋根おろし替え工事(屋根リフォーム)~防災施工,コブ型雪止め,黒瓦~~
小松瓦の施工例 ~立山町S様邸リフォーム瓦屋根おろし替え工事。甍棟,雪割り冠~
小松製瓦株式会社 ホームページ

富山ブラックの黒瓦と空の青が写り込んだ、深い青色の艶やかな小松ブルーの小松瓦
(小松製瓦の53A判防災和瓦)
当ブログの過去の記事を再編集しました。

富山ブラックの黒瓦と、空の青色が深く写り込んだ小松ブルーの小松瓦
質問というのは、
「富山では、「三州瓦」と「小松瓦」のどちらが良いか?」
というものです。
どちらが良い、向いているという事は
一概には言えませんが、
私自身、十数年前にメインの瓦を
小松製瓦へ切り変えました。
以下、当社で使用する瓦を小松製瓦に変更した理由です。
~ 良い理由 ~
① 瓦自体が強く、強度がある。
② 瓦の裏、表に釉薬が塗ってある。
③ 貫入が無い(かんにゅう)
(貫入を肉眼で確認できません)
④ 三州瓦より重たいと思っていたが、
それほど変わらない。
~ 悪い理由 ~
① 表面が粗い。
等の特徴があります。
まず、良い理由の、
「①瓦自体が強く、強度がある。」
について
小松瓦を加工し、現場で施工してみて
日々強い。と感じていました。
三州瓦から、小松瓦へ替える事により、
施工中に破損する瓦が減りました。
その理由のわからずにいましたが、
一つ面白い現象を発見したので、
お知らせします。
それは、
小松瓦は硬くて、柔らかいのです。
硬いのに柔らかいというのは
相反する事のようですが、
瓦に粘りがあり、柔らかいのです。
それはどうしてかというと、
グラインダ等で瓦を細く加工していると
3㎜程の厚みで切断する事があります。
これを両手でもって軽く押してやると、
「しなります」
三州瓦だと、ガラスのような堅さな為
押すと「割れて」しまいますが
この瓦は「しなって」元に戻るんです。
機会があれば、瓦屋さんに言って
試してみてください。
3㎜程度で薄くスライスした瓦を
曲げてみると良く分かります。
曲げすぎると割れてしまいますが、
瓦が「しなって」「戻る」というのは
面白くもあり、驚きます。
意図してこういう性質の瓦にしてる
かは分かりませんが、
(営業マンが驚いていました。)
北陸で生まれて、重たい雪に耐えるよう
作られ、選ばれてきた「小松瓦」
理由があったんです。
②「両面釉薬」
富山で施工されている古い三州瓦では、
釉薬の塗って無い裏面に凍害、塩害を
見かけたりしますが、
小松瓦では瓦の両面に釉薬を塗り、
貫入が入らないように焼く事により、
凍害、塩害について強くなっています。
③ 貫入が入らない(入りにくい)
貫入(かんにゅう)というのは、
焼き物の釉薬の表面にある
亀の甲羅のような細かな模様の事です。
(お茶碗にも貫入が入っています。)
通常、瓦が長年風雨に晒され、
貫入が目立つようになってきますが、
小松瓦には貫入が見られません。
貫入が無いために、釉薬は美しく輝き、
黒瓦に青い空が写り込み、
美しく深い青色で輝きます。
(貫入のある瓦では、空の青の映り込み
が少なく、白く濁ります。)
それまで三州瓦を使ってきた私にとって
貫入があるのは当たり前の事でしたが
小松瓦には貫入が入っているのを
見た事がありません。
屋根に乗せて、数年風雨に晒された
瓦を見てもそうです。
この辺はかなり意識されてるようで、
瓦を焼く温度が1250~1200℃と、
他の瓦より高くして、かなり気をつけて
製造されてるようです。
※貫入は、JIS規格、耐久性には
関係無いと言われていますが、
数十年、風雨や雪、凍害に晒される
富山では、重要な部分と思い、
選んでいます。
何年経って貫入が入らない為、
倉庫にある在庫の瓦、いつの製造の物か
判断つかなくなってしまいます。
(普通の瓦だと、貫入の入り方、
変色の仕方で瓦の古さが分かります)
修理に伺ったりした時にも、
劣化して見えない為
いつの施工だったかな?
と悩む事あります^^;
そういう事もあり、小松瓦の多い
北陸、富山では、とても良い艶の黒色、
深い青色の屋根を見る事ができます。
④重量について
私自身、小松製瓦に替えても、
三州瓦より重たいと思っていました。
重いが、強度があるから使ってみようと
思ってたんですが、
倉庫で計ってみた所、
意外な結果になったんです。
実際に倉庫で計ったところ、
平瓦で100g程度小松瓦が重いですが
役瓦と呼ばれる
雪止め瓦、軒瓦、大袖瓦、小袖瓦で、
100g~300g小松瓦が軽いのです。
この結果は意外でした。特に、
雪止めでは300gほども差があり、
屋根に瓦を葺いた場合、
そんなに変わらない結果になりました。
(平成20年 釈永瓦工務店 倉庫調べ)
1㎡、1mの積雪で3tもの重量になる
富山の重い雪に比べると
誤差のようなものだと思います。
※最近の三州瓦は瓦を薄く作り、
軽量化を図っている為、
平成29年現在の重量差は変わって
いるかも知れませんが、
軽量化をしたという三州の瓦の
サンプルを頂いたところ、
JIS規格は通ってるんでしょうが、
私個人の感想として、
とても富山で施工できる強度を
持っているとは思えないものでした。
悪い理由
①表面が粗い。
焼き物という事もありますが、
小松瓦の表面が荒く見える事があり、
気になる事があります。
メーカーに改善をお願いしてますが、
使用している土の関係と、
焼く温度が三州瓦より高く、
瓦が「しまる」ため
なかなか改善されません。
この部分が改善されると、
和形の三州瓦を北陸で使う理由は
無くなってしまうかもしれません。
瓦の表面の粗さは、
小松瓦の最大の欠点ですが、
瓦を焼く温度が高く、焼き締め、
「硬く、粘りがあって強い」
一つの特徴と言えるのかもしれません。
瓦の表面は多少粗いですが、
貫入の無い釉薬は美しく、
性能、構造の面で富山の土地に合っている為、
地元、北陸の瓦という事もあり、
三州瓦から、小松瓦へメインの使用瓦を変えました。
(黒瓦の多い富山、北陸なので、とても美しい艶の黒色が合います)
あと、瓦の防災化への対応もしっかりされてるため、
私の求める完全防災施工というのに対応できる瓦です。
(完全防災使用=防災瓦、全数釘止め、軒袖部への防災補強、等)
感覚で強い、硬い、と思っていた所と、
実際に計測、実験してみた結果というのが一致し、
予想外の結果も出てきて、面白い実験でした。
少しでも参考になれば幸いです。
それでも、個人的な感想、実験、感覚
に基づくものに過ぎません。
もっと詳しく、正確な情報は、構造の専門家(私は施工専門)の方に
お願いしたいと思います。
当社では、小松瓦、三州瓦以外に、
淡路瓦、石州瓦、安田瓦も検討して
使用しています。

陶器特有の貫入が無い為、
空の青色が深く写り込み艶のある
富山ブラックの黒瓦と
小松ブルーの小松瓦
私の認識に間違いがあれば、ご指摘頂けると助かります<(_ _)>
小松瓦の施工例 ~祐教寺(富山県立山町) 降ろし替え、瓦屋根リフォーム工事~
小松瓦の施工例 ~立山町U様邸 蔵、瓦屋根おろし替え工事~
小松瓦の施工例 ~立山町H様邸 瓦屋根おろし替え工事(屋根リフォーム)~防災施工,コブ型雪止め,黒瓦~~
小松瓦の施工例 ~立山町S様邸リフォーム瓦屋根おろし替え工事。甍棟,雪割り冠~
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富山ブラックの黒瓦と空の青が写り込んだ、深い青色の艶やかな小松ブルーの小松瓦
(小松製瓦の53A判防災和瓦)
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